農地をめぐる壮絶相続バトル!お金では解決できない大変さ

都市部の相続では、自宅不動産+預貯金などの金融資産を分割するケースがあり、自宅不動産も、都市部であれば、売却して現金化し、相続人で分ける、ということも多々あります。


ところが、そう簡単にいかないのが、田舎の相続。


納屋などがくっついた大きな家、田んぼ、山などがあり、時に、相続の時に問題になることがあります。


今回もドラマ仕立てでご紹介します。

1.相続と同時に発生する跡継ぎ問題


ここは、代々農家で暮らしてきた山田さんの家です。

納屋や母屋などがくっついたいわゆる農家住宅と、自宅前の田んぼと畑、少し離れた所にも田んぼを持っています。

土地はすべて父名義で、母が主に農業を行い、父は会社員をしながら、週末農業をしていました。


子供は長男、長女、二男の3人で、全員結婚し、別々の所に住んでいます。

子供達は、農業に関しては親に任せっきりで、ほとんど分かりませんでした。


さて、そんな時、父が倒れ、急逝してしまいました。

相続人は、母と子供たち3人です。

母は、自分も高齢なので、もう農業をしたくない、と言い出しました。自分はいらないから、3人のうちの誰かに継いで欲しい、と言います。


とはいえ、3人とも自分の仕事、家族があり、簡単には田舎へ帰れません。長男、長女、二男が、実家の押し付け合いになりました。


しかし、いつまでたっても決まらないので、長男が、妻子に実家同居案を相談したところ、同意してくれたため、兼業農家を継ぐことになりました。

長男が家と田んぼを継ぐことになったのですが、遺産は、家と田んぼ以外には、めぼしい預貯金がなく、長女、二男へ分けるお金がありませんでした。

2.お金を作ろうとするも、簡単に現金化できない悩み


長男が家と農業を継いでくれるということで、長女と二男は喜んだものの、すべて兄に持って行かれるような気がした二人は、長男に遺産分けを請求しました。

長男も自分の仕事があるので、田んぼや畑を全部管理できないと思い、一部の田んぼを処分したいと思っていました。そこで、田んぼを売ったお金を渡す、と約束しました。


田んぼを売りに出しましたが、なかなか買い手が見つかりません。

近隣の田んぼも高齢化で放棄地となっている田んぼばかりで、母が知り合いの農家に購入を誘っても思うように売れませんでした。


そこで、早く現金化して欲しいと思っている長女と二男は、先に長男のお金で払ってくれ、と請求してきました。

それに対し、長男は怒り、同居して母の面倒を見るのだから、田んぼが売れるまで待つか、田んぼそのものを相続しろ、と主張しました。

長女、二男は都会に住んでおり、田んぼをもらっても困るだけです。

そして、長男vs長女、二男の争いに発展してしまいました。

3.子供同士の争いを何とか止めたい母が支出


三人が言い争っている間にも、母は、農地を売ろうと農地バンクに登録しようとしましたが、相続手続きが終わり、長男名義にならないと手続き出来ないと知り、打つ手がなくなりました。


そこで、母は、これ以上3人が争っていても解決しないと思い、自分の生命保険を解約して、長女と二男に遺産分け分として払ってやりました。


長男は、そこまでする必要はない、と言ったものの、母は、母自身の意思で行い、長女、二男も、それで納得しました。


そうして、母、長女、二男は、遺産分割協議書に署名捺印し、長男が家と田んぼ、畑をすべて相続しました。


相続手続き後、長男に名義が代わった農地を農地バンクに登録したり、管理機構へ買い上げを依頼したりしました。

しかし、特別良い農地だったというわけでもなく、農地はなかなか売れず、しばらくはそのままの状態となりました。


父の相続以降、長男一家は実家に住み、農業を行っていましたが、長女、二男は帰りづらくなり、実家によりつかなくなりました。


母は、自分が亡くなった時にも、兄弟三人がもめないようにと、わずかばかりの貯金の分け方をきちんと遺言に残しました。


おしまい。

4.まとめ


田舎の相続の場合は、単なる不動産の価値を分割するのでは分けられない難しさがあります。

誰が継ぐのか、農地はどうするのか。

都会に住んでいる子供達による土地の押し付け合いも実際に起こります。

すぐには現金化できない土地。将来的にどうするのか、家族で話しておく必要があります。

争いを防ぐ遺言の作成をお考えの方は、こちらをご覧下さい。

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