生前贈与か遺言か相続かの問題
相続対策として、生前贈与を検討される方もいらっしゃいます。
生前贈与をした方がいいのか、遺言として残した方がいいのか、あるいは、何もせず相続させた方がいいのか。
考えるポイントをご紹介します。
1.税金的にどうかという問題
まず、考えなければならないのが、贈与した場合の贈与税と相続の時の相続税との関係です。
金額や内容、あげる対象の人などによって税額が変わってきたりします。また、同じような条件で、相続時まで置いておいた場合、贈与税と相続税とどちらかが高くなるか、は、おそらく具体的に計算してみないと難しいところでしょう。
税金だけを考えてのことであれば、ぜひともお近くの税理士さんへの相談がベストです。
不動産なら評価額が分かるものなどを持参して、贈与した場合にどれだけかかるのか、相続の場合にどれだけかかるのか、をぜひ一度相談してみましょう。
2.税金問題だけじゃ済まない、遺留分の問題
自分が死ぬまでに自分の財産は処分しておきたい、確実に○○に引き継いでおきたい、そんな思いから生前贈与を検討される方もおられるでしょう。
もし、税金問題がクリアであれば、今度は、遺留分の問題になってきます。
贈与とはいえ、時期や贈与する相手によっては、遺留分算定の時に金額が持ち戻しされる場合もあります。
将来の相続人が納得してのことであれば、相続時にもめることは少ないかもしれませんが、相続人のうちの誰か一人に財産を与えることを、他の相続人がそれをよく思っていない場合は、いずれ相続の時にもめる元となります。
3.そもそもの生前贈与の必要性
例えば、相続人が一人しかおらず、その人に引き継ぐ予定であれば、わざわざ生前贈与をする必要があるかどうか、も問題となります。
また、生前贈与をしてしまうと、生前贈与後にお金が必要になった時、生前贈与をしてしまっても大丈夫なのかどうか、といった問題もあります。
相続人の誰か一人に相続させたい、そういう場合は、遺言を使う方法もあります。
もちろん、特定の誰かだけに相続させる場合は、遺留分の問題が出てきますが、これは生前贈与であっても同じ問題があります。
あるいは、法定通りに分ければいい、と思っている場合は、遺言がなければ、基本的には法定相続通りとなるので、遺言さえ必要ない、ということにもなります。
財産をどうしたいのか、誰に引き継ぎたいのか、それによって生前贈与をした方がいいのか、遺言で残した方がいいのか、はたまた何もしないで放って置いてもいいのか、違ってきます。
4.まとめ
生前贈与をするには、税金の問題、遺留分の問題、相続人間の問題など、考える視点は多々あります。どれか一つだけにこだわって決めてしまうと、税金が多くなってしまった、あとで争ってしまった、といったことも起こりえます。
生前贈与をするのか、遺言にするのか、あるいはそのままか。
残す方の気持ちとともに、税金面、遺留分面、相続人の問題など多角的に考える必要があります。