遺言を書いた?書かせた?後々トラブルにならない方法

遺産相続の対策として、遺言はとても有効な手段です。


相続争いを防ぐだけでなく、相続手続きに関しても簡略化できるようなメリットもあります。


でも、その遺言が原因でもめることも、実は結構あります。

1.相続人の一人が書かせた、という疑惑


2時間サスペンスドラマでも出てきそうな話しですが、遺言には、本人にはその気がないのに、相続人の一人に有利になるような遺言を本人に書かせた、という疑惑がつきものです。あるいは、遺言を書かせるように仕向けたり誘ったりした、といった疑いも起こることがあります。


これは、特に、遺言を書く本人が高齢の場合によく起こります。


高齢であっても、入院中であっても、判断能力に問題がなければ、遺言を作成することができます。


しかし、後々、本人が亡くなった後、相続人の一人が、遺言を書いた当時はすでに認知症だった、たくさんもらう相続人が書かせた、と言い始め、トラブルになることがあります。


当時、本当に認知症でなかったとしても、遺言を書いた時点の状態を証明できるものがなければ、疑う方はますます疑います。


公証人が本人と面会し、証人2人の立ち会いの元で作成される公正証書遺言は、自筆の遺言に比べて正確性が高いと言われています。それでも、医療の専門家ではない公証人が100%認知症でないと見抜けるわけではなく、公正証書遺言であっても、遺言作成時の判断能力の有無が問題とされることもあります。


その当時、本人が本当に判断能力があり、自らの意思で書いたのかどうか、不満を持つ相続人は、常にそこに疑いを向けます。

2.不満を持つ相続人対策


本当に本人の意思で作成された遺言書であっても、その内容に不満を持つ相続人は、遺言書自体を否定しようと争ってきます。遺言書が有効でないとされれば、遺言書はなかったことになり、通常の遺産分割協議をしなければならなくなります。そこで、もらう分が少なかった相続人は、法定割合通りに得ようと考えるわけです。


一番よいとされるのが、遺言を書く当時の診断書を取っておくことでしょう。


あるいは、健康で認知症でないと分かるような検査結果を取っておくのもおすすめします。


要は、遺言を書いた当時は、判断能力がきちんとあった、ということが分かる資料を残しておくことです。


遺言の内容によって、不満に思いそうな相続人がいて、争いになりそうな時は、遺言を書いたのは本人の意思である、という証拠を残しておくのがよいでしょう。


ただ、実際に、遺言書の有効姓を争おうとすると、裁判にまでなってしまうため、相当な労力が必要です。

3.元気なうちが一番


もめそうな遺言は、疑われようもない、元気なうちに書いておくのがおすすめです。遺産相続の争いを予防する遺言ですが、時として遺言自体が争いの元、となります。


本人が亡くなった後の争いを防ぐには、遺言を書いた時点で、相続人には一言知らせておくことも、争い予防の一つとしては有効です。


亡くなった後に知らされ、自分の取り分が少なかった、となれば、その不満は、たくさんもらう相続人へ向かいます。そして、自分の取り分を少なくするように秘密に遺言を書かせた、と思うこととなります。


そうならないためにも、遺言を書く本人が、遺言と合わせて、相続人に対して、事前にこう思っている、と言っておくことも争いを防ぐ上で効果的です。

4.まとめ


相続争いを防ぐ遺言ですが、場合によっては、逆に争いを引き起こしてしまうこともあります。


そうならないために、元気なうちに、専門家に相談して、争いが起こらないような遺言を作成しておきましょう。

遺言作成サポートの詳細はこちらをご覧下さい。

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