遺産分割した後に、相続する土地が出てきたときはどうするか
何年も前に円満に親の遺産分割が終わっていたものの、何かのきっかけで、実は、亡くなった親名義の土地があった、と判明することがあります。
でも、何年も前に遺産分割協議書を作成して、遺産分割は終わっています。
どうしたらいいでしょうか?
1.遺産分割協議の時に全ての遺産が明かだとは限らない
亡くなった人の通帳やカードなどから、取引銀行などの金融機関は判明しやすいですが、必ずしもすべて判明するとは限りません。
特に、亡くなる直前まですべて自分で管理していたような場合、家族が知らない預金口座があるケースも多々あります。
近年では、ネット銀行など、通帳を発行しない銀行もあり、エンディングノートに残していない限り、家族には分かりづらい預貯金です。
不動産については、住んでいた家などは明かですが、例えば、投資用に購入していた不動産や、祖父母の代から引き継いだ田畑、山などの土地については、相続人が知らないといったことが起こります。
課税されている不動産の場合は、固定資産税の納付書などから土地を知ることができますが、非課税の土地などについては、知らないままになってしまうことも多々あります。
そうしたことから、相続手続きの際には、どれだけ遺産があるか調査したとしても、気づかない遺産が残ってしまう、ということはあります。
とはいえ、分からない遺産まで含めて分けることはできないので、調べて、判明した遺産について、遺産分割協議書を作成することになります。
2.最初の遺産分割協議書は有効
遺産分割協議書を作成し、円満に遺産を分けた後に、新たに遺産が出てきた場合、最初の遺産分割協議書は無効になるのか、と思いますが、特別の事情がない限りは、有効です。
最初の遺産分割協議書は、その時点で判明した遺産について分割したもので、判明している遺産自体に変更がなければ、特に問題はありません。
それに、すでに分けてしまって、手続きも終了している場合、また改めて一からやり直すとなると、時間と手間がかかる上、不要な争いも生まれる可能性があります。
円満に終了してしまっているのであれば、それはそのままとして置いておいた方がよいでしょう。
3.新たに判明した遺産は、追加で遺産分割
新たに判明した遺産は、どうすればいいですか?
亡くなった時の遺産分割と同じように、新たに判明した遺産について、遺産分割協議書を作成します。
土地などの場合は、相続登記の必要もあるため、遺産分割協議書が必要になってきます。
ただ、時間が経過しているので、手続きには、再度、相続関係を明らかにする戸籍謄本一式が求められます。
手続きとしては、最初の相続手続きと同じだと考えておけばよいでしょう。
ただし、遺産すべてではなく、新たに判明したものだけを対象としますので、最初に比べれば、多少は楽かもしれません。
4.遺産が新たに判明した時に、相続人が亡くなっていたら?
相続人の一人が亡くなっていたら、どうしたらいいですか?
新たに遺産が判明したときに、相続人の一人が亡くなっていた、ということもあります。
亡くなった後、10年以上経過した後に判明したケースなどは、相続人も亡くなっている場合が多々あります。
亡くなった相続人の相続人がいれば、その人が本来の相続人に代わって、遺産分割協議書を作成することになります。
例えば、相続人の子供などが該当します。
5.まとめ
円満に遺産分割をした後、新たに遺産が見つかった場合、最初の遺産分割協議書はそのままにして、新たに見つかった遺産について、再度遺産分割を行います。
その時に、相続人が亡くなっていたら、その相続人の相続人が代わりに遺産分割協議に参加することになります。