自分で取れる!相続のための戸籍謄本の取り方
親が亡くなったとき、銀行の預金を解約しよう、株券を換金しようとして、銀行や証券会社から、戸籍謄本を求められましたか?
相続の手続きには、様々なものがありますが、どの手続きにしても、まずは戸籍謄本を求められます。
でも、どうやって取っていけばいいですか?
そんな相続のための戸籍謄本の取り方を一から説明します。
1.まずは亡くなった人の本籍地を確認
相続人が誰であっても、共通して必ず必要なのは、亡くなった人が生まれた時から亡くなるまでの一連の戸籍です。
戸籍の請求には、必ず本籍地が必要です。
本籍地が分からない場合は、どうしたら良いでしょうか?
かつては、運転免許証に本籍地が記載されていましたが、現在は記載がなくなったため、自分の本籍地でも分からなかったりします。
そんな時は、亡くなった人の住民票を取得してみてください。省略のない本籍地記載のあるものを取ると、本籍地が判明します。
亡くなった人の住民票は、住民票の除票という言い方をします。
通常の住民票に死亡年月日の記載と斜線が入っていますが、本籍地の記載などは通常の住民票と同じです。
ただし、除票は亡くなってから何年も経過すると廃棄され、取れなくなってしまいます。その場合は、相続人の戸籍から亡くなった本人の戸籍をたどっていくことも可能です。
本籍地が分からない、辿り方が難しい、という方は、専門家への依頼をおすすめします。
2.最後の戸籍謄本から出生までを遡る
亡くなった人の本籍地が分かったら、本籍地の市町村役場に戸籍請求をします。
この時、もし、遠方の役所だった場合は、郵送請求をすることができます。ほとんどの自治体では、ホームページに戸籍謄本の郵送請求の仕方と書式が掲載してあるので、ホームページで確認して送ることができます。その際には、請求する人(相続人)の身分証明書の写しが求められます。
郵送請求のコツとしては、請求時に出生から死亡までの戸籍謄本が欲しい旨をメモしておけば、本籍地の自治体が変わっていなければ、一気に出生から死亡までの戸籍謄本を取ることができます。
ただし、ここで注意するのは、手数料を多めに入れておくことです。出生からの戸籍謄本を請求する場合、通数が多くなるので、後で役所から手数料が足りないので追加で送って下さい、ということがあります。
役所の窓口で直接もらう場合であっても、本籍地が変わっていなければ、出生から死亡までの戸籍謄本が一気に取れます。
例えば、A市で生まれて、そこで結婚して、A市内で転籍し、死亡した場合、出生から死亡まで、本籍地はずっとA市内にあるので、A市で一気に取得可能です。
結婚前は別の本籍地だった場合はどうなりますか?
最新の横書きの戸籍謄本には、【従前戸籍】と書かれた欄があります。そこに結婚前の本籍地、つまり親の戸籍に入っていた時の本籍地が書かれてあります。本籍地の横に書いてある名前は戸籍の筆頭者の名前です。その【従前戸籍】欄を見て、一つ前の戸籍謄本を請求しましょう。
転籍をしていた場合はどうなりますか?
転籍の際には、戸籍の上あたりに【転籍】の記載があります。○○より転籍とありますので、転籍前の本籍地へ戸籍謄本を請求します。
結婚離婚を繰り返したり、何度も別地域へ転籍をしたりしている場合、一つ一つ取ってさかのぼっていく必要があります。これは面倒で時間がかかりますが、亡くなった人の出生からの戸籍をたどるためには必要になります。
古い戸籍謄本をたどる際にポイントとなるのは、戸籍の一番始めに書かれてある筆頭者(戸主)の欄を見ることです。明治から昭和の古い戸籍謄本では、読み取りにくいことが多々ありますが、戸主の欄に、その戸籍がいつ作られたか、転籍したのか、除籍になったのかなどが記されていて、そこを読み取って遡っていきます。
3.相続人全員の現在の戸籍謄本
亡くなった人の戸籍謄本の他に、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。現在生きている人の戸籍謄本なので、通常は、6ヵ月以内の戸籍謄本の提出を求められます。
4.兄弟姉妹あるいは甥姪が相続人になる場合の戸籍謄本
親が亡くなり、配偶者と子供、あるいは子供のみが相続人の場合は、亡くなった親の出生から死亡までの戸籍謄本と、相続人になる配偶者と子供の戸籍謄本のみで十分です。ところが、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合は、さらに戸籍謄本の収集が必要です。
亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になる場合、亡くなった人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。
戸籍謄本の遡り方は、亡くなった人の出生の戸籍謄本から母、父、それぞれの結婚前の戸籍をたどり、母、父それぞれの出生の戸籍謄本までたどります。
さらに、亡くなった人の兄弟姉妹が先に死亡し、甥姪がいる場合、甥姪が相続人となります。その場合は、亡くなった人の両親の出生から死亡までの戸籍に加えて、亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍も必要になります。
兄弟姉妹、甥姪が相続人になる場合には、戸籍の調査だけでも大変な苦労をすることになります。
5.出生の時の戸籍がなかった場合
亡くなった方が、かなりのご高齢の場合や、兄弟姉妹が相続人になる場合には、一番古い戸籍謄本が取れないことがあります。理由としては、保存期間の経過による廃棄や戦災による消失、本籍地の地番省略などでそれ以上遡れない場合などがあります。
そうした場合は、役所で証明書を発行してもらえます。廃棄や戦災などにより請求した戸籍はありませんという証明書です。
銀行などによっては証明書までは不要というところもあるかもしれませんが、念のため、取得しておくことをおすすめします。
6.まとめ
相続手続きに必要な戸籍謄本は、基本的に一番新しい戸籍から一つ前、さらに一つ前と順番にたどっていけば揃えることができます。
戸籍には、それぞれ前の戸籍が必ず記載されています。たどる途中において、結婚や転籍など、本籍地が変わっている場合は、それぞれの本籍地の役所へ請求する必要があります。面倒ではありますが、自ら収集することも可能です。
どうしても難しいと思われたときには、行政書士などの専門家への依頼をオススメします。
特に兄弟姉妹、甥姪相続に関しては、取得する量も多くなります。
戸籍謄本の収集を任せられ、相続関係をすっきり分かりやすくできます。