遺言よりも役立つ?すぐ書けるエンディングノート活用法
さて、終活を始めよう、とした時、しばしば耳にするのが、エンディングノートです。
終活セミナーに参加して、無料でもらったけど、という方も多いのではないでしょうか。
でも、そもそもエンディングノートって何に役立つんでしょうか。
いまひとつ活用方法がよくわからない方に、分かりやすく解説します。
1.そもそもエンディングノートとは?
無料のものから有料のものまで、さまざまなものが出ています。実は、中身は統一されたものではなく、自分史を書ける内容ののものから、自分の住所や各種の連絡先、財産関係など、必要事項のみ記入欄があるものまで、いろいろあります。
そもそもエンディングノートとは、家族に残す連絡ノートです。
しかし、自分が亡くなった時だけではなく、自分が入院し、動けなくなったとき、家族がエンディングノートを見て知りたい情報を得ることができる、という使い方もあります。
2.エンディングノートの法的効果
残念ながら、エンディングノートには、遺言のような法律的な効果はありません。
エンディングノートの中には、遺言のように、財産の分け方の希望を書く欄があります。しかし、そこへ書いたとしても法律的な効果がないため、相続人の間で遺産分割協議が必要になります。もっとも、家族が、「こんな風に思っていたなら、その通りにしよう」と参考にするのは、問題ありません。
エンディングノートに書いた遺産の分け方への指示は、法律的に有効にはならないということを十分承知の上で書く必要があります。
もう一つ、注意しておきたいのが、エンディングノートで書いた遺産の分け方によって、相続人同士がもめる元になる可能性があることです。
誰か一人に全額をと書いていたとしても、それは法律的に効果がなく、他の相続人との間で遺産分割協議ができなければ、実現できません。
しかし、遺産を全部もらえると思った相続人が、これは故人の遺志だと主張して、他の相続人との関係が悪化することもあります。
法律的な効果はなくても、遺言と同じように遺産の分け方を記入する場合には、注意が必要です。
また、エンディングノートには、遺言の有無や所在を書いておく欄もあります。遺産の分け方を指定しておきたい時は、きちんと法律的に有効な遺言を残し、どういう遺言でどこにあるのか、をエンディングノートに記載しておきましょう。
それがエンディングノートの最もな活用法です。
3.残された家族が喜ぶ、遺言以上に大切な項目
エンディングノートの最大の特徴は、何と言っても、生活に必要な情報を保管しておける、という点にあります。
例えば、親戚の連絡先。
自分は当然に知っていても、子供の代になると全く知らない、ということはよくあります。
○○おじさんに連絡して、と言っても、住所も知らなければ、電話番号も知らない。
さらには、メモしてある場所も知らない。
そうなると、万が一の時に、どうやって連絡をとっていいのか、分かりません。
自分は分かっているけど、家族は知らない。
生活の中で、そんなことは結構たくさんあるんじゃないでしょうか。普段の生活では、子供世代は、親の親戚関係などはうとく、親を通して連絡しているため、いざという時、親の代わりに連絡する、ということができなくなります。
そんな時、エンディングノートがあれば、子供世代もすぐに知ることができます。
次に葬儀やお墓に関すること。
葬儀を生前に予約をしていたり、お墓を購入していたりした時、どこの葬儀会社で予約済なのかどうか、お墓の場所はどこか、管理会社の連絡先など、死後家族が知っておかなければならない情報です。
もちろん、遺言でも葬儀会社の指定、お墓の指定などを書き込むことは可能ですが、通常は、連絡先の電話番号までは遺言には書きません。
でも、家族にしてみたら、連絡先の住所と電話番号、予約した内容等を知りたいですね。
そうした、家族が知りたい情報が項目化されているため、それに沿って書くことによって、家族に適切に伝えることができます。
その他、葬儀での希望などを記入する欄もあります。
最後は、故人の思うとおりにしてあげたい、と思うもの。
でも、どうするのが一番いいのか、悩みます。
そこで、エンディングノートで残してあげることで、残された家族がスムーズに送る儀式を整えることができます。
また、他にもペットの扱いなど、生活に密着した項目が書けるようになっており、遺言よりも実用的な内容になっています。
4.エンディングノートを書き始める
遺言と違って、法律的な効果はないため、決まった書式で書かなければならないとか、必ず書かなければならない項目がある、ということはありません。
まずは、名前だけは先に書き、その他は書きたいところから書く、というのがオススメです。
初めから全部書いてしまおうという気では、最後まで書けなくなってしまいます。
少しずつでも、興味があるところ、今メモしておいた方がよいと思うところから書いていけば、少しずつでも役立つノートになっていきます。
もちろん、前書いていたけど、気持ちが変わって書き直したい場合も、簡単に書き直せるのがエンディングノートです。
ただ一つ、注意点としては、書き直す場合は、書き直したのがはっきり分かるように書き直しましょう。
消したのか消していないのか分からない場合は、いざという時に見る家族が混乱します。
はっきり二重線でもいいですし、修正液で消して書いても特に問題ありません。
}新しく訂正されているのが分かれば大丈夫です。
5.まとめ
エンディングノート自体は、法律的な効果はなく、遺言の代わりにはなりませんが、生活に密着した情報のメモなので、遺言以上に、いざという時にすぐに役立ちます。
子供には迷惑をかけたくない、そんな風に思われる方が多くいらっしゃいます。
だからこそ、子供がスムーズに手続きができるように、必要な情報をエンディングノートにまとめて残しておくと、とても役に立ちます。