相続手続きの先延ばしをすると結局お金がかかる
近年、所有者不明土地問題、空き家問題がニュースで取り上げられています。
本来なら財産になるはずの不動産。
それが「負」動産になっています。
あなたのお家は大丈夫ですか?
相続手続きを放ったからしにしておくと、結局余計にお金がかかる、ということになるかもしれません。
1.トラブルなく相続したから自分の家?
田舎では、今でもよくある話ですが、長男が実家に住み、実家や田んぼなどを相続する、ということが代々行われている場合があります。
最近ではサラリーマンをしながら、休みの日に畑仕事をしたり、あるいは、農地を貸したりして先祖代々の土地を維持する、というケースがあります。
こういうケースの場合、長男以外の相続人もそれを納得していたりして、特に相続でもめることなく、長男一家は実家に住んでいます。
家の名義変更をしなくても家には住めますし、名義変更をするには、多少なりともお金がかかります。特に問題がないので、登記はそのままにしている、というケースが、実は結構あります。
だから、名義がおじいちゃん名義のまま、お父さん名義のままになっているというのも珍しくありません。
住んでいる分には問題ありませんが、もし、売ったり、人に貸したりしようとした場合は問題になります。あるいは、自分が亡くなり、子供の代になった時にも困ります。
家を売ったり、土地を貸したりする時、所有者と登記名義人が一致していなければ、基本的には取引できません。買いたい、借りたい、と言う人が現れたときに、相続手続きをしていないばかりに、売るチャンスを逃すかもしれません。
さらに、相続手続きが二世代にわたって行われていない場合は、より手間がかかることになります。最初の代の相続人、さらに次の代の相続人と相続人の人数が増えます。相続手続きをしていない時間が長ければ長いほど、大変になります。
現在の法律では、不動産の相続手続きをしないからといって、何か罰を受ける、ということはありません。
しかし、世代が先へ進むほど、手間も時間もお金もかかることになります。
問題なく相続したとしても、きちんと手続きをしておかないと、後々余計にお金がかかることになります。
2.所有者不明土地と相続手続きの関係
長年相続手続きが放置され、登記名義人から相続人をたどることが不可能になる場合があります。いわゆる所有者不明土地です。
特に田舎などでは、山や田んぼ、畑などで相続が発生し、子供世代が、どこが自分の土地なのか分からないケースもあります。そうしたケースは相続手続きが放置されやすく、特に山などでは長年登記名義人が変わっていないものもあります。
相続手続きをきちんとし、相続した土地がどこなのか、場所を把握しておくことが大切です。もちろん、生前に親から聞いておくというのも大切です。
所有者不明土地に関しては、相続人が全員相続放棄をして、相続人がいなくなった、あるいは初めから相続人がいない、といった状況のものもあります。
相続人がいないことが想定される場合は、生前に対策をしておく必要があります。
3.空き家を相続した時のリスク
空き家を相続した場合、そのまま放置しておくと、家は早いスピードで朽ちていきます。
誰か人が住み、管理していれば、急激な老朽化はある程度防げます。
空き家を相続した場合、相続手続きの有無に関わらず、空き家に関する責任が発生します。
例えば、問題になっている崩れそうな空き家の管理。
通行人にケガをさせてしまう心配がある場合、所有者となる相続人に管理する責任があります。
危険と判断されたら取り壊しをしなければなりません。
昨今、危険な空き家について、相続人が取り壊しをしなかった場合、行政が代執行で取り壊しをし、その金額を請求される、ということが話題になっています。
そうなる前に、相続した空き家を有効活用する方法を考えなければなりません。
三田市では、空き家バンクなど空き家対策に取り組んでいます。
そういった取り組みを利用するにしても、まずは、きちんと相続手続きを済ませておかないと参加できないようになっています。
この時、もし、祖父母名義のままであれば、自分名義に手続きをしておかなければいけません。先延ばしにしてしまったら、自分の子供の代にまで及び、手続きはより複雑で大変になってきます。
4.まとめ
相続手続きには、手間とお金がかかりますが、子供世代への課題を残さないためにも、今やっておく必要があります。
せっかく相続した不動産を「負動産」にしないために、まずは相続手続きをきちんと行い、活用していきましょう。